脳動脈瘤を手術するまでも、いろいろと悩みましたが実は手術後も1ヶ月ぐらい何もする気が起きない事がありました。
今考えると、手術をした事で今までの悩みや頑張ってきた事や考えてきた事が何だったんだろうと思い、やる気を失っている事を当時の日記からみる事ができます。
最近読んだ本の中に当時の自分に渡して処方箋がわりにしたいと思った本がありましたのでご紹介します。
同じような思いになった方だけでなく、その方の周りにいる方にも読んで欲しい本です。
参考になればうれしいです。
本の情報
- 著者:池井佑丞
- 出版社:かんき出版
- 出版日:2022/4/18
- ページ数:208 ページ
著者は、戦う産業医として、医師・プロキックボクサー・トレーナーという3つの立場から健康を見つめています。自分が目指すべきものは「病気を治す医療」ではなく、「病気にさせない医療」であると悟り、産業医の道へ進みました。大手企業の統括産業医を歴任し、現在約1万人の健康を守っています。
こんな人におすすめ!
この本がおすすめなのは次のような人です。
- 頑張らなければいけなくなっている人
- 期待されていると感じた人
- 何かやる気が出ない人
- 部下のいる人
- 新人
私の場合は、「頑張らなければいけなくなっている人」に当てはまると思います。脳動脈瘤が発見された事で不安になり、あれもやっておかないといけない、これもやっておかなければならないと思いましたし、時間がないと意識するようになったことで気を張り詰めて何でもやっていたと思います。それが、手術によって安心してまだ生きていられると感じたときにしばらくは今までやってきた事の意味がなくなったのではないかと感じました。それによって燃えつきてしまったと思います。
今では落ち着きましたので、そこでやった事を見返す事でまたやる気が出てきて、かえって前よりも自分の意志でやっているのでしっかりと芯の通ったものになって自己回復していますが、そこでの経験にとても近い内容が本書では書かれているのでより的確に対処していけるのではないかと思います。
要約とポイント
燃え尽き症候群とは
「燃え尽き症候群」とは、仕事などを頑張ってきた人が、突然仕事への意欲・関心を失ってしまう状態のことであり、最近では職種や性別、世代にかかわらず、増加しているとされています。高度に情報化した社会で、24時間人とつながることで対人ストレスが増えていることがその原因の一つであり、コロナ禍による働き方や生活の変化により今後も増える可能性があるとされています。燃え尽き症候群自体は病気ではありませんが、うつ病などのメンタル疾患の発症のきっかけになることがあるため、「燃え尽きなのかも?」と気づいた時点で対策することが重要です。
燃え尽き症候群とは、1970年代にアメリカの精神心理学者ハーバート・フロイデンバーガーが使い始めた用語であり、仕事などを頑張ってきた人が、まるで火が消えたかのように、仕事への意欲・関心を失ってしまう状態のことを指します。ICD-11では、燃え尽き症候群は病気や障害ではなく、状態や現象として扱われていますが、放置すればメンタル疾患につながる可能性が否定できません。
燃え尽き症候群の特徴
燃え尽き症候群の特徴は、次の3つです。
- エネルギーが枯渇するか、または消耗したという感覚
- 仕事への忌避感の増加、または仕事に関する否定的ないし冷笑的な感情
- 能率の低下
身体面の症状としては、食欲の低下や睡眠障害などがあります。また、社会面・生活面の変化としては、遅刻や早退の増加、パフォーマンスの低下、投げやりな態度などがあります。
燃え尽き症候群は、職場で多くの人が抱える問題としても知られています。燃え尽きから休職や離職につながったり、人間関係が悪化して孤立したりすることもあります。産業医として働いてきた著者は、職場でメンタル疾患を発症する人の多くに「燃え尽き」があるのを感じていたと述べています。
燃え尽き症候群を予防するためには、適切な休息やストレス発散、コミュニケーション能力の向上、自己管理の強化などが有効です。早めに燃え尽き症候群を気付き、適切な対策を取ることが大切です。
3つのタイプ「燃えすぎさん」「燃え切らないさん」「燃えないさん」
「頑張れている状態」であるためには「燃えている状態」である必要があります。つまり、
- 頑張る理由となる「火種」
- 行動やペース配分である「薪」
- 人間関係や業務負荷といった「環境」
のバランスがとれていなければなりません。これらのバランスが崩れたときには、誰でも燃え尽き症候群になるリスクがあります。
燃え尽き症候群には大きく分けて3つのタイプがあります。
- 燃えすぎさん
- 燃え切らないさん
- 燃えないさん
心身に高い負荷をかけすぎて、エネルギーが枯渇してしまうのが「燃えすぎさん」タイプです。薪をくべすぎて何もかも燃やし尽くし、火が消えてしまうこのタイプは、燃え尽き症候群の20%ほどを占めると考えられています。
燃えたいのに環境が合わないために大きく燃えることができないのは、「燃え切らないさん」です。燃え尽き症候群の15%程度のこのタイプは、火種はあるのに燃えずにくすぶることに苦しみ、心身に異常が現れます。
若い世代にとても多くなっているのは、頑張る理由を見つけられない、なにを頑張っていいかわからない「燃えないさん」です。コロナ禍の影響などで上司や先輩社員とのつながりが希薄になり、若い世代は意欲がもてないときにどう自分を鼓舞していいのかわからなくなっているようです。本人が苦しんでいる以上、若者の甘えと一蹴することはできません。このタイプは燃え尽き症候群の約15%を占めます。
残りの50%は複数のタイプの混在や、明確に識別できないものとなります。
燃えつきから回復しよう
燃え尽き症候群や他のメンタル不調に陥った場合、最初にすべきことは「元気になること」です。回復には、4つの段階があります。
- 安全生活
- 日常生活
- 社会生活
- 健全生活
最初に、「安全生活」としてしっかりと休息し、心と体を休めることが必要である。
次に、「日常生活」に移行し、身だしなみを整え、食事をし、必要に応じて買い物に出かける。
そして、「社会生活」へと移行し、仕事に復帰するが、計画的に負荷を上げることが重要である。
最後に、「健全生活」をスタートさせて、燃え尽きを予防し、上手に燃えることができるようにすることが大切である。
これらの4つの段階を順番に着実にゆっくりと進もう。
元気を取り戻したらなにをすればいいのか
心身の元気を取り戻した後、自分自身の「火種」を大きくすることが重要です。人間の行動やモチベーションの元になる思いには次の4つがあります。
- 「欲望」
- 「理想」
- 「信念」
- 「恐怖」
これらのバランスが適正化されていることが重要です。欲望と恐怖に振り回されず、理想や信念を作り上げることが、自分自身の「火種」を大きくするための重要なステップであると述べられています。
まず始めにするのは目標を決める事です。
産業医面談に訪れた人に対しては、「評価ではなく、成果を求めよう」と話し、自分なりの理由を再確認して正しい目標設定を行うことを勧めています。自分自身の理想や信念に基づく「成果」に焦点を当て、自己評価を行うことが重要です。
「自分らしい社会人」を目指すために何年後にどうなりたいかを考え、想像して今から100日をどう過ごすかの計画を立てることを著者は指導しています。100日後には達成度を振り返り、また、100日後の計画を立て、ちょうどいい目標にしていく。これを繰り返してなりたい自分に近づいていく事が大事だと述べています。
目標を決めたら、それを達成するために必要な「火種」を保つ事が必要です。
まず、目標を達成するためには、以下の3つのことを明確に決める事が重要です。
- やりたい事
- やるべき事
- やらない事
これらを決めることで、ムダな選択を減らし、時間やエネルギーを大切なことに集中できます。また、これらの目標を実現するためには、スケジュールを立てて実践し、習慣化することが必要です。
そして、次は環境の整備が必要です。環境が悪ければ、火は大きくなりません。自分に合った環境を整えることで、目標達成の助けになります。人間関係はストレスの元になることも多いですが、自分を元気にしてくれる人や「セコンド」のような存在を複数持つことが大切です。
このように、目標を達成するためには、やりたいことややるべきこと、そしてやらないことを明確にし、実践して習慣化し、自分に合った環境を整えることが重要です。
身近な人でが「燃えつきさんかも?」と思ったらやって欲しい事
気づいて欲しい燃えつきさんののサインは、
- 遅刻
- 無断欠勤
- ミス
- 服装の乱れ
です。これらに気づいたら周囲からアクションを起こして、休養や治療につなげるようにしましょう。
メンタル不調かもしれないと思ったら次の2つの質問が有効です。
- 「よく眠れている?」
- 「休みはどんなことをしていた?」
これらの質問によって、不調の状況を確認しよう。
メンタル不調は、個人の性格や資質によると思われるかもしれませんが、多くは仕事や職場のストレスの蓄積からくるものです。
燃え尽きる人が一人でもいるのなら、「安心して燃えられる場所」を作っていくようにみんなで支え合う事が大切です。
まとめ
まとめです。
- 燃え尽きなのかも?」と気づいた時点で対策することが重要
- 頑張る理由となる「火種」、行動やペース配分である「薪」、人間関係や業務負荷といった「環境」バランスが崩れたときには、誰でも燃え尽き症候群になるリスクがある
- 燃え尽き症候群のには3つのタイプがある「燃えすぎさん」「燃え切らないさん」「燃えないさん」
- 燃え尽き症候群や他のメンタル不調に陥った場合、最初にすべきことは「元気になること」
- 心身の元気を取り戻した後、自分自身の「火種」を大きくすることが重要、その後自分に合った環境を整えることが重要
- 燃え尽きる人が一人でもいるのなら、「安心して燃えられる場所」を作っていくようにみんなで支え合う事が大切
最後までお読みいただきありがとうございます。参考になったら嬉しいです。