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脳動脈瘤で不安になったら読みたい「「のび太」という生き方」

今回紹介する本は、ドラえもんののび太くんの生き方をしてみようという本です。この本は、東日本大震災が起こった後に売れ行きが伸びたそうで、改めて自分の生き方を考える人が多かったからのようです。

私も、今自分は何を考えて生きてきたのか、そしてこれからどう生きたいのかを脳動脈瘤をきっかけに探しています。最近の脳動脈瘤の術後健診では隠れ脳梗塞が見つかり落ち込んでいます。

そんな時にこの本に出会いました。ドラえもんに出てくるのび太くんはテレビアニメではだめ人間、映画ではヒーローのような印象が私にはありました。ところがこの本を読んでいくうちに、なんてのび太くんは前向きに取り組んでいるんだと感じる事ができるようになりました。

自分はダメだと思っている人にぜひ読んで欲しい本です。

本の情報

  • 著者:横山 泰行(よこやま やすゆき)
  • 出版社:アスコム
  • 出版日:2014/11/07
  • ページ数:180ページ

著者の横山 泰行さんは、1942年岐阜県生まれ。1976年東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。フルブライト交換留学生(ペンシルバニア州立大学)。富山大学人間発達科学部名誉教授。生涯スポーツ専攻。教育学博士。

ドラえもんアナリストとして、ドラえもんの登場人物が夢や悩みにどのように対応し、解決したかを考え、人生を豊かにする方法を模索する「ドラえもん学」を研究してます。富山大学で人間発達科学部の名誉教授を務めており、1999年には、単位認定のない自由参加型ゼミ「ドラえもんの世界」を開講し、2004年には「ドラえもん文庫」を開設しています。

こんな人におすすめ

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この本がおすすめなのは次のような人です。

脳動脈瘤経験者がおすすめ!本書を読んで欲しい人!
  • ダメな事や悪い事ばかり続いている人
  • 自分はのび太くんに似ていると悲しんでいる人
  • 前向きに生きなければならないと追い込まれている人
  • 何の役にも立っていないんじゃないかと考えてしまっている人

私の場合は、「ダメな事や悪い事ばかり続いている人」と「何の役にも立っていないんじゃないかと考えてしまっている人」に当てはまっていると思います。脳動脈瘤がわかったときもそうですが、術後もいろいろあるし正直いうと心が折れかかっています。私は、のび太くんが毎日自分ができないことに苦しんでいるのではないかと勝手な印象を持っていましたが、本書を読んでむしろ前向きに取り組みをしている人なんだと認識するようになりました。

この本を読んでからというものドラえもんを全巻読破したいという思いが生まれ今取り組んでいます。私は、ドラえもんの深さにとても心打たれました。

要約とポイント

のび太くんにとってのひみつ道具の本当の役割

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「ドラえもん」という漫画には、いつも多くの「ひみつ道具」が登場します。これらのひみつ道具には、特殊な能力が備られています。そして、物語の展開を促す大きな役割があります。しかしながら、物語が進むにつれて、ひみつ道具の限界や欠点が浮き彫りになることが多いのです。

例えば、「かならず当たる手相セット」という道具があります。最初は手相が当たりますが、徐々にハズレばかりになってしまうという欠点があります。しかしながら、のび太は自分でがんばることを決意し、ドラえもんから激励されるというシーンがあります。このように、実はのび太くんはひみつ道具がうまく機能しなくなった時でも、自分で解決策を見つけ出すことができる人なのです。

ドラえもんの世界で、ひみつ道具は問題を解決する手段の一つですが、最終的には根本的な問題解決にはならないことが多くみられます。ドラえもんにおけるひみつ道具とは、実は「ひみつ道具に頼らずに、自力で問題を解決することを重視している」ものなのです。

しかしながら、のび太がひみつ道具に頼る場面も多くダメな場面に注目が集まってしまいます。よくみるとのび太くんは、どの作品でも必ず自分で試行錯誤しながら問題に取り組んでいます。のび太くんにとってのひみつ道具は自分の長所や優しさを引き出し、背中を押してくれる存在です。

つまり、きっかけを提供する存在であり、自分の力を引き出すためのヒントや手助けをしてくれる大切なものなのです。

ドラえもんの作品中は現代社会の抱える問題が多数

のび太くんが漫画本の作品中でが直面するトラブルは、582作品と全作品の7割にに及びます。

そしてトラブルは次の7つに分類されます。

  • 友人関係(237作品)
  • のび太本人(110作品)
  • 家庭(76作品)
  • 学校(56作品)
  • 恋愛(44作品)
  • 遊び・運動(34作品)
  • 金銭(25作品)

その中でも友人関係のトラブルが最も多いです。ジャイアンの暴力やスネ夫によるいじめ、仲間はずれなどが中心的な問題になっています。そこでのび太くんがドラえもんやひみつ道具に助けを求めるシーンがかなりの割合を占めています。

実は、『ドラえもん』の作品は、パワハラやいじめ、不登校、自殺志願、環境問題など、現代社会が抱える様々な問題を扱っているのです。

のび太メソッド6選

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ここからは、のび太くんの事を見習って幸せな生き方をする方法を6選紹介します。

のび太メソッド6選
  • 成功体験を得る
  • すぐ行動する
  • うらやましさは力になる
  • 誰にでも優しいが幸せな未来を作る
  • 叶う夢と叶わない夢がある
  • 道具に頼ってもいい、目標に向かって努力する

次から具体的に示していきます。

1. 成功体験を得る

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先延ばし癖のあるのび太くんは、苦手なことに直面すると、なかなか行動を起こせません。しかし、最終的には、その問題を解決するために行動を起こし、それを克服します。その際、のび太くんは多くのひみつ道具を使って苦手なことを克服し、その都度、達成感や爽快感を体験しています。

この成功体験が、のび太くんを行動に駆り立てる原動力になっています。人間は、思いがけずスムーズに物事が進んだり、勝利したりする成功体験によって、簡単にハードルを超えることができます。

人間は、自分ができないと思っていたことができるようになると、自信を持つことができます。のび太くんが「気持ちのいい疲れ」を感じて、「自信が持てた」というように、達成感や爽快感を体験することで、自信を持つことができるのです。

2. すぐ行動する

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ドラえもんの3巻に、「シャーロック・ホームズセット」という、のび太くんがシャーロック・ホームズに憧れてホームズ・セットというひみつ道具を使って探偵ごっこをするという話があります。のび太くんは、大事なものをなくして困っているしずかちゃんを助けるためにこの道具を使います。しかし、推理の結果、自分が犯人であるとされてしまいます。この後も全くいい事がなく終わってしまいます。

しかし、このエピソードからは、やってみないよりもやってみた方がいい、行動を起こすことが大事だというメッセージが伝えられています。のび太くんは失敗をしてしまいましたが、その失敗から自分が探偵に向いていないことを知ることができ、自分にとって本当にやりたいことや得意なことに向き合うことができるようになったのです。

また、このエピソードからは、早く行動することの重要性も伝えられています。のび太くんは、考え込んでいる間にチャンスを逃してしまうことがありますが、このエピソードでは、ひみつ道具を使って即座に行動することで、自分自身を試すことができたのです。

このように、やってみないよりもやってみた方がいい」というメッセージが、『ドラえもん』の多くのエピソードに含まれています。失敗をしてしまっても、それが自分の成長のための貴重な経験になることがあるということを教えてくれています。

3. うらやましさは力になる

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「のび太の鉄道模型」というドラえもんのエピソードは、のび太くんがスネ夫の大きな鉄道模型にうらやましさを感じ、自分でも立派な模型を作ろうと努力する物語です。

のび太くんは正月からコツコツと鉄道模型を作っていたのですが、スネ夫が10倍も大きな模型を持っていることを知り、自分の模型に対する自信が揺らぎます。そこで、ドラえもんにひみつ道具「ポップ地下室」と「フエルミラー」を出してもらい、立派な鉄道模型を作ることに熱中します。

のび太くんは、道具を使って細部までこだわった鉄道模型を完成させ、スネ夫を驚かせます。そして、「スモールライト」で小さく変身したのび太くんやしずかちゃんたちは、自分たちで作った鉄道に乗って大喜びします。

この作品のように、のび太くんは「うらやましい」ことに対し、努力してそれ以上のものを手に入れようとしていきます。ひみつ道具の力を借りれば、自分もできると信じているから、何ごとにもくじけない心を持ち、道具の力以上のものを達成してしまうのです。のび太くんが単なる道具に頼り切っている人ではない事がよくわかります。

4. 誰にでも優しいが幸せな未来を作る

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のび太くんは、非常に優しく思いやりがあり、友人たちや周りの人々に対して常に親切であり、敵対する相手にも優しさを持って接しています。

こんなエピソードがあります。ある日のび太くんのパパが風邪をひいてしまったとき、のび太くんはパパの風邪を引き受け、スネ夫に風邪をうつそうとしましたが、スネ夫の父親が心配しているのを見て、反省して再び風邪を引き受けたことがあります。このように、のび太くんは常に他人のことを考えて行動するため、周りから愛され、理解されています。

のび太くんは、ジャイアンやスネ夫にいじめられることが多いですが、野球などの遊びのときには常に誘われる存在であり、彼の優しさが人々の心を動かしていることが伺えます。

そして、ついにはしずかちゃんの心を射止め、結婚に至ることになりました。

のび太くんの生き方は、優しさと思いやりを持って人々と接することで、協力者や理解者を得ることができ、幸せな未来を築いていくことができることを示唆しています。

5. 叶う夢と叶わぬ夢がある

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Photo by Karyme França on Pexels.com

のび太くんは夢に熱中しますが、その多くが現実には叶わない非現実的なものであり、それらを叶えようとするためにひみつ道具を使うこともあります。しかし、ひみつ道具を使っても夢が叶わなかったり、その過程で失敗することもあります。

例えば、「宝星探査ロケット」というひみつ道具を使って小人の星へ行き、宝を探し当てることを目指す物語があります。実際に掘り起こしてみたら、宝はホコリのような小さなものだったことが分かります。また、違う星で大きな金の円盤を見つけますが、それはただの硬貨でした。この後、のび太くんとドラえもんは二度と宝探しをしないことを誓います。

ドラえもんの作品中には宝探し関連の作品が30作品以上もあります。これらの夢のうち、単に欲に溺れてひみつ道具を使って叶えようとした夢は、最後には「こんなことしなきゃよかった」という結果で終わります。

ドラえもんの作者の藤子先生は、子どもたちに現実との違いを理解すること、そして自分でコツコツと地道に努力することの大切さを教えるために書かれたのではないかと筆者は書いています。

6. 道具に頼ってもいい、目標に向かって努力する

person rock climbing
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のび太くんは、どんなに失敗しても夢に向かって挑戦し続けています。だいたいが失敗に終わるのですが夢を描く事はやめようとしません。

ドラえもんの1巻の「走れ! ウマタケ」ではのび太くんが最初はひみつ道具を使うのですが、自力で夢を叶える物語が描かれています。

ジャイアンが主催する「タケウマ乗りコンテスト」にのび太くんは出場することになりますが、自分はタケウマに乗れないことに落ち込んでいました。

そこで、ドラえもんが22世紀からウマとタケの混血種「ウマタケ」を連れてきてくれ、のび太くんはウマタケで練習を始めます。しかし、ウマタケはどこかへ逃げてしまい、練習が水の泡になってしまいます。

そんなとき、ドラえもんは、ひみつ道具を使って夢をかなえることには限界があることを教え、本当に夢をかなえるためには自分の努力が必要だと諭します。

その晩、ドラえもんは、のび太くんにタケウマ乗りの猛特訓を課し、傷だらけになりながらも、最終的には見事にタケウマに乗れるようになります。

この物語では、ひみつ道具だけに頼らずに自分自身で夢をかなえることの重要性を示す作品となっています。小さな目標に向かって努力することが夢をかなえるためには不可欠であることを教えてくれます。

つまり、失敗を経験しても夢を描くエネルギーを失わずに、自分自身で目標に向かって努力することが重要であることを示しています。この物語は、ドラえもん短編マンガの中でも特に印象的な作品の一つであり、多くの人にとって励ましとなるメッセージを伝えています。

まとめ

まとめです。

  • ドラえもんの世界は現代社会の問題を扱っているので解決策の良い教科書になる
  • ちょっとの手助けを得て、できなくても前向きなのび太くんになろう
  • のび太メソッド6選「成功体験を得る」「すぐ行動する」「うらやましさは力になる」「誰にでも優しいが幸せな未来を作る」「叶う夢と叶わない夢がある」「道具に頼ってもいい、目標に向かって努力する」

以上、最後までお読みいただきありがとうございます。参考になったら嬉しいです。

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