2022年6月2日に未破裂脳動脈瘤の手術をしました。私の場合は、軽い気持ちで人間ドックで脳ドックを受けた結果見つかったものでした。見つかってから、2年間とても悩みました。最近、未破裂能動脈瘤についてツィートしていたら、脳外科医の漫画である「アンメット」がおすすめに出てきてこれはと思い、一気読みしました。
ぜひ、脳のトラブルに会った時にこの漫画を読んで欲しいと思いましたのでご紹介したいと思います。手術の判断や後遺症など迷う事が多々ありますがとても参考になる漫画ですのでおすすめです。
実際に私の脳動脈瘤の手術の体験もありますので良ければ読んでみてください。
アンメットはこんな漫画
アンメットの基本情報
- タイトル:アンメット-ある脳外科医の日記-
- 原作:子鹿ゆずる(元・脳外科医)
- 漫画:大月閑人
- 掲載誌:モーニング
- 出版社:講談社
です。原作が実際に脳外科医というのは史上初ではないかと思います。漫画の中でもかなり詳しく書かれていてしっかりした背景に基づくお話なんだと実感できます。
タイトルのアンメットですが、英語のスペルで「unmet」です。直訳すると「満たされない」と言う意味になります。
三瓶友治が、川内ミヤビに漫画の中でアンメットについて語る部分が出てきます。6巻53話側頭葉転換⑦の中での会話です。
三瓶友治はその会話の中で
「できた影に光を当ててもまた新しい影ができて満たされない人達が生まれる。・・・どうやったらくまなく照らせるのかその答えを探している。」
と言います。これが、三瓶友治の医療に対する思いのようです。
それに対して、川内ミヤビは影が消える方法を示します。実際にどうやったのかは漫画の中でも明かされませんが、それを見た三瓶友治の顔を見れば、それが思いも寄らないでもきっと簡単な方法なんだと想像させられます。ぜひ、漫画でそのシーンをご堪能ください。
キャスト
役割 | 名前 | 概要 |
---|---|---|
主人公 脳外科医 (丘陵セントラル病院) |
三瓶友治 | アメリカ大学病院からきた脳外科医。脳外科医としてとても優秀。仕事中毒。川内ミヤビと実は婚約していた(2巻17話をご覧ください)。 映画のロッキーが好きだが、理由はまだ不明。 |
ヒロイン 救急部医師 兼 脳外科医 (丘陵セントラル病院) |
川内ミヤビ | 記憶障害があり、寝ると前日の記憶がなくなってしまう。毎日、読み返す日記でなんとか生活している。 何があったのかはまだ不明。 |
救急部長 (丘陵セントラル病院) |
星前宏太 | 熱血漢でジェネラリストとして救急をやりたいと思っている。熱い男。 |
看護師長 (丘陵セントラル病院) |
津幡玲子 | 口うるさい看護師長。実は、過去に医療ミスでトラウマがある。医院長から看護部長になって欲しいと言われている。 |
麻酔科医 (丘陵セントラル病院) |
成増貴子 | 麻酔科医としての技術は超一流。人脈も広い。セクシーな女性で、三瓶友治と川内ミヤビの関係に興味津々。 |
胸部外科部長 (丘陵セントラル病院) |
先崎彰 | 救急や脳外科での手術が優先され自分の思い通りの時間でできない事にやきもきしている。発言も強めで怖いと思われている。 |
医院長 (丘陵セントラル病院) |
藤堂利幸 | 津幡看護師長の同僚。実は熱い男で |
脳外科教授 (関東医大) |
大迫紘一 | この漫画に出てくる脳外科医の先生だった人。 川内ミヤビの主治医。 色々と画策していて、謎多き存在。保守的な面もある。川内ミヤビに対しての治療に奇妙なこだわりがあり、なぜこのようなことをしているのか。 |
脳外科医 (関東医大) |
綾野楓 | 脳血管内治療を主にしている脳外科医。 川内ミヤビが病気になる前には好意を持っていた。 実家は、内科の開業医で資金繰りに悩んでいる。この悩みを解消するため大迫光一教授のすすめで西島麻衣と婚約している。結婚後は、経営に専念する。理事長は 最近はあまり乗り気ではない。博士になる必要があるが論文提出がまだ。 |
医局秘書 (関東医大) |
西島麻衣 | 綾野楓の婚約者。純粋に綾野楓のことが好き。 |
関東医大同窓会長 | 西島同窓会長 | 黒幕かな。 |
おすすめポイント
脳の病気と切っても切り離せない後遺症について勉強になる
この漫画の大事なポイントの一つですが、「脳外科医が診るのは、脳ではなく人生」というのがあります。脳の病気は治療をしてもその後様々な後遺症に見舞われます。この漫画の中でも手術は成功しますが、術後の後遺症について患者さんが悩み立ち向かっていく姿が描かれます。
日常生活に支障はないが、元のような生活には戻れなかったり、日常生活にも不自由が出て色々な人のサポートを受けながら生活をしないといけない。そんな状況になることも多いのが事実です。生きているだけで、良かったと思えと言われればそれまでですが、生きているからにはやはり元の生活と同じように過ごしたいと思うのではないかと思います。
しかし、そうならなかった時自分の今までの考え方や支えてくれる人々に感謝しながら新たなスタートを切る。そうできるように支えてくれる人がいるんだとこの漫画は教えてくれます。
私も、未破裂脳動脈瘤を手術しましたが、その後遺症で今まで見えていた左目が眼底出血をしてしまい、一部の視野が欠損してしまいました。幸いな事に、血管の詰まりとかはなくて視野が完全に消失してしまったわけではないですが、2022年6月2日に手術をしてから4ヶ月経ち、徐々に回復していっていますが前のようにはまだ見えていません。手術前は正常だったものが異常になってしまうというのはやはりショックでした。
私の場合は、家族がその支えになってくれています。より一層感謝しています。
脳ドックを受ける前に7巻(58〜62話)を読むべし
私もそうだったのですが、何の気なしにそろそろいい年だから人間ドックを受けようと思ったり、せっかくだから色々とオプションもつけちゃおうと言って脳ドックやガン検診や腫瘍マーカを行うのはとんでもない事だと思います。
正直、まあ薬を飲むなど軽い病気ぐらいは見つかるのかなと思ってはいましたが、重大な病気やもう治る事がない病気が見つかる事も多いです。ですので必ず、これらを受ける際には病気が見つかったら治療を積極的に行い生きたいと思って受診する必要があると思います。
私の場合は、初めて受けた人間ドックで、「緑内障」「脳動脈瘤」が見つかりました。緑内障はすでに進行していて一部の視野が欠けていました。緑内障も治ることはなく進行を抑えながら管理していく病気です。死にはしませんが、治る事がなく一生付き合っていく病気というのが結構あるんだと気付かされました。
アンメットの中では、7巻(58〜62話)で未破裂脳動脈瘤というタイトルで話が進みます。ここで出てくる患者の加瀬誠さんは住宅ローンの審査を受けるために人間ドックを受けるのですがそこで何気なく選んだ脳ドック(母親がくも膜下出血で亡くなっており、念のため選んだ)で脳動脈瘤が見つかりました。
診断内容は、私と全く同じ「左頸動脈の未破裂脳動脈瘤」直径は私よりも若干大きい「6mm」です。三瓶友治先生が説明してくれる内容は、私が体験したものと同じでした。医療スタッフのいる部屋で話している未破裂脳動脈瘤が見つかったときの患者さんの精神的な状況について話しているシーンもありますのでぜひ一読ください。私も、全く同じでした。コロナ であることをいい事に手術を先延ばしにしていました。その間も精神的にかなり鬱に近い症状に悩まされました。
患者の加瀬誠さんは子供のランドセルが頭に当たって頭痛を感じ救急車で病院にいったのですが、私の場合は突発性難聴が発症し吐き気やめまいが夜中におきて救急車で運ばれました。その時の恐怖と言ったらなかったです。突発性難聴が治った後はさらに鬱の状態になりました。いつ死ぬかわからないという強い恐怖を感じました。
未破裂脳動脈瘤を手術するかの時に、お医者様から確率の話をされます。この確率がまた患者にとっては微妙な数字なんです。結構、数%という数字が多く出てくるのですが正直数%って結構確率の高い数字だと思うんです。それが自分に当てはまるかもしれないと思ったら恐怖なんです。
加瀬誠さんは、最終的に手術を受ける決断をします。そこで、三瓶友治先生に決心を告げる時に、こう言います。
「僕は未破裂脳動脈瘤に問うてばかりいました。破れるかどうかって・・・。だけどそれは逆だと気づいたんです。僕は未破裂脳動脈瘤に問われていたんですよね。『どう生きるべきか』って」。
私も、手術を決心するまで数多くの本を読みました。
- やりたいことはなんなのか。
- 何が大事なのか。
- どう生きるのか。
- 自分が死んだら何が残るのか。
- 妻や子供に何が残せるのか。
加瀬誠さんの姿は改めて私そのもののような気がして、読み切りました。
ぜひ、人間ドックや脳ドックを受ける前には読んでみて欲しいです。
今後の見所
この漫画のメインストーリーである、川内ミヤビ先生の病気を取り巻く人たちの思惑と治療の行方はますます注目です。
主治医の大迫紘一医師は、色々と隠し事がありそうです。カルテは見せてくれないし、同窓会理事となんらか結託しているし。
権力や利権のせいで川内ミヤビ先生は犠牲になってしまっているのでしょうか。
次の日までしか持たない記憶の理由が、6巻でようやく原因が分かります。そのおかげで、記憶力がわずかに戻るのですが、実はそれだけでは解決せず、返って苦しめる事になります。7巻で明らかになるのですが、大迫紘一医師が投薬量を調節し苦しめないように苦労して見つけた量だったようなのです。
このシーンを見ると必ずしも何か悪いことをしようとしてやっていることでもないように見えるのです。
今後の展開が楽しみです。
まとめ
まとめです。
- 脳の病気について知りたくなったら「アンメット」を読むべし
- 脳の病気に後遺症はつきもの、よく理解して遠慮せず助けてもらおう
- 脳ドックを受ける前に「アンメットの7巻」を読むべし、病気が見つかったら悲観せず、ポジティブに考え積極的に治療を!
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。参考になったら嬉しいです。
実際に脳動脈瘤の手術の体験もありますので良ければ読んでみてください。