未破裂脳動脈瘤の最初の発見は脳ドックなどでMRIを使って発見されます。MRIでは正確な未破裂脳動脈瘤の大きさや形状はわからないため、必ず「血管造影検査」を行います。
血管造影検査は入院して行うので、様々な準備が必要になります。また、血管造影検査ではあまり通常は経験しない特殊な体験をします。
検査入院の期間は私の場合は1泊2日でした。
私の場合は、なかなか実際に入院するまでは具体的にどのようなことが行われるのかがわからず不安な日々を過ごしました。
同じ病気の人の参考になればと思い記事にしました。
血管造影検査とは
血管造影検査とは、脳動脈瘤の大きさや形を正確に把握するために行われます。
血管造影検査は鼠蹊部(足の付け根)の動脈からカテーテルを入れて、カテーテルを首のところまで入れて、そこから血管造影剤を流しながら撮影を行います。
鼠蹊部から入れないで腕の動脈から入れるやり方もあるようです。鼠蹊部から入れると4時間は動けなくなってしまうので、腕から入れられるのであればその方が良いのではないかと思うので聞いてみると良いかと思います。
詳しくは参考になる記事があるのでそちらをご覧ください。
血管造影検査 | 診療科・部門紹介 | 公益財団法人東京都保健医療公社 東部地域病院
血管造影検査入院前の準備
入院前にも準備のために色々とやることがあります。
MRI検査
血管造影検査をする前に、現在の状態をMRIで確認します。MRIは、大きな筒の中に入れられて検査をします。金属はつけられないので、腕時計やヒートテックなど金属が含まれたものは外します。マスクは、金属のワイヤーが含まれていないものを渡してくれるのでそれに付け替えます。
MRIでは、頭を動かしてはいけないので頭の周りに隙間を埋める緩衝材を入れます。また、大きな音がするので耳栓などをつけます。また、何かあったときのためにブザーを持ったまま検査が始まります。
検査は、20分ぐらいで終了します。ギーという音や少し高めのキーンという音が鳴りながら測定していきます。
私の場合は、目を閉じて測定してもらっています。経過観察で何度も経験しているので最近は少し眠ってしまうことが多いです。最初は、ちょっと緊張すると思いますが何か考え事をしているとあっという間に過ぎる時間なのでなんとかなるかと思います。
PCR検査
血管造影検査は、入院して行うためにPCR検査を受けてコロナに感染していないかを確認します。
PCR検査自体は、インフルエンザの検査をしたことがある方ならそれと同じになります。
くしゃみ等が検査技師さんにかからないようにするために、ビニールで覆われた部屋の中に患者が入ります。その部屋の外から鼻に長い綿棒をさして採取してくれます。
血管造影検査入院
いよいよ検査入院です。
検査入院のスケジュールは次の通りになります。病院によってはスケジュールを最初に渡してくれるところもあるのかも知れませんが、私の場合は都度看護師さんが時間になるときてくれる感じで予定が良く分かりませんでした。
- 1日目
10:00:入院手続き
11:00:剃毛
14:00:検査開始
15:00:検査終了
19:00:止血終了
19:30:夕食
22:00:就寝 - 2日目
08:00:朝食
10:00:退院
入院手続き
病院の受付で入院手続きをします。どこの病院でもそうですが、5人部屋以外は差額ベット代を払う必要があります。
健康保険では差額ベッド代は健康保険の対象にならないのですが、病院側が空きがないという理由で差額ベッド代が必要な病室に入院となった場合は、病院側の都合で差額ベッド代を支払わなくても良いケースになることがほとんどですが、あらかじめ確認をしておくと良いと思います。
コロナの影響でこういう病院は多いみたいです。
剃毛
剃毛は、T字体と呼ばれるオムツのようなものをつけた状態で、看護師さんにやってもらいました。
看護師さんが電気シェーバーを持ってきてくれて剃ってもらいました。
私の場合、かなり毛深いので毛がT字体にたくさんくっついてしまい恥ずかしく気になったので一生懸命取り除きました。
脳血管撮影検査
脳血管撮影検査前には飲食が禁止なので昼食は出ません。
脳血管撮影検査をする部屋はIVR(Interventional Radiology=インターベンショナルラジオロジー)と呼ばれる部屋でした。看護師さんが付き添ってくれるのですが、点滴を持ちながら歩いてその部屋まで行きます。ちなみに、手術の場合もこの部屋になります。
- 一般病棟の看護師さんと手術室の看護師さんで引継ぎ
- 鼠径部周辺を消毒
- 局部麻酔
- 鼠径部の動脈からカテーテルを入れる
- 血管造影剤を入れ、脳血管撮影開始
- 鼠蹊部の動脈からカテーテルを抜き止血する
- 一般病棟へストレッチャーで戻る
一般病棟の看護師さんと手術室の看護師さんで引継ぎ
一般病棟の看護師さんと手術室の看護師さんで引継ぎが行われます。
この時に、尿管カテーテルを入れるか聞かれます。
なぜかというと、鼠蹊部の動脈からカテーテルを入れるので止血が完全に終わるまでに、4時間は全く動けない状態になるからです。
ですので、尿を出すときは「尿瓶を使う」か「尿管カテーテルを入れて排出する」かどちらかを選択することになります。
私の場合は、尿管カテーテルは怖かったので、尿瓶で対応することにしました。
鼠径部周辺を消毒
T字体を外されて、消毒液がドバッとかけられて消毒されるます。
結構冷たいのですがちゃっちゃと行われるので正直どこを触られているのか私には分かりませんでした。
消毒後は、再びT字体がつけらて局部は隠されます。
局部麻酔
血管造影検査の場合は、局所麻酔になります。注射で麻酔を鼠径部のあたりに打たれます。麻酔が効いているか確認されます。
鼠径部からカテーテルを入れる
鼠径部の動脈からカテーテルを入れます。
痛くはなかったのですが何かがもぞもぞ入ってくる気配がしました。私の場合は、2回ほどうまく入らず刺され、その失敗の時にそういう感覚がしました。
うまく中に入っていっている時は特にそのような感覚はなく、どこまでいっているのかも全く分かりませんでした。
検査後数日はよくわからないのですが、この2回の失敗が、徐々にに大きな内出血として後浮かび上がりました。恥ずかしくてお見せできないのですが、私としてはびっくりしました。足の付け根のの内側と外側に人差し指ぐらいの太さの内出血ができました。
特に痛みはなかったのですが、検査結果を聞きに行った時に見てもらいそんなにひどくないと言われました。
血管造影剤を入れ脳血管撮影開始
実際に撮影中は今までに経験したことのないものを感じました。私の初めての体験は
- 血管造影剤が流れたりCTが取られるときに体が熱くなる
- まぶたを閉じていると稲妻が見える
- 舌に苦い味を感じる
です。
最初は、腰のあたりが熱くなります(熱めのお風呂ぐらいの感覚です)。その後、目のあたりが熱くなります。このときまぶたを閉じていると稲妻が見えたりします。さらに、私の場合は舌に苦い味を感じました。
検査中にこのような体に何か起きるようなものは今までしたことがなかったので本当にびっくりしました。
鼠径部からカテーテルを抜き止血する
脳血管撮影は、鼠蹊部の動脈からカテーテルを入れて行うのでカテーテルを抜いた後10分ぐらい圧迫止血をします。
結構強い力で押さえつけられます。局部麻酔をしているので、痛くはないのですが、10分も押さえつけられることはないので長いなぁと感じました。
その後、カテーテルが入っていたところに硬いものを入れた上で、テープでグルグル巻きにします。このテープがくっつくので剃毛をしておくことになります。結構広めに巻くので正直もっと剃っておいて貰えば良かったと思いました。
一般病棟へストレッチャーで戻る
検査が終わるとストレッチャー(動くベット)で病室まで運ばれます。
動くことが全くできないので看護師さんにベットに移してもらいます。私は、太っていて90kg近くあるのでとても重かったことでしょう。
4時間ベットで安静にしなければならず、全く動くことができません。
看護婦さんにお願いしてスマホを渡してはもらいましたが片手は点滴をしているし、仰向けでスマホを使うのは案外疲れます。病室のテレビを使えるようにしておけば良かったと後悔しました。
寝返りもできない状態で「つらかったり、おしっこがしたくなったらナースコールを押してください」と言われましたが、忙しそうな看護師さんを呼ぶのが申し訳なくて、トイレに行きたいのを4時間我慢しました。ほんと4時間早く経たないか待ち遠しかったです。遠慮せず看護師さんを呼んだ方が良いと思います。
その後、止血していたテープを剥がしてもらえるのですが、これがまた痛い。剃毛はしたのですが、やっぱりくっついていてとても痛いです。なんとか我慢しましたがキツかったです。昼間の看護師さん(剃毛してくれた人)が、はくり剤というのがあるので使ってもらってくださいと言われていたのですがすっかり忘れていました。私みたいに毛深い人は是非使ってもらってください。ちなみに、手術後のICUではがすときは、ドバドバ使われましたよ。
絶対安静が終わると夕食がようやく食べられました。
退院
2日目の午前中には退院です。
特に、何もなく検査の結果は1週間後に聞くことになりました。
検査結果の診察
血管撮影の結果を聞きに通院しました。
幸いなことに、MRIの結果とは違い形は歪にはなっておらず、大きさも5mm程度と特に悪い状態ではありませんでした。
でも、これがいい機会だし、2年間かなり精神的に不安定になっていたのでもう手術をしようと決めました。
入院費
まとめ
まとめです。
- 血管造影検査入院は、1泊2日
- 血管造影検査時間は、1時間程度
- 剃毛が必要
- 血管造影検査中は、「体が熱くなる、目を閉じるとまぶたに稲妻が見える、下に苦い味がする」といった経験ができる
- 血管造影検査後は、4時間動けない
- 尿瓶を使うか尿管カテーテルを使うかを選択しなければならない
未破裂脳動脈瘤の手術前の確定診断「血管造影検査」の準備から退院するまでの経験を記事にしました。
参考になったら嬉しいです。